自立した女性の生き方と愛を深く問いかける傑作。やりがいを見つけ、困難を乗り越えながら生きていく──「人生とは」自分自身に今一度問いたくなる、里中真知子らしい人間ドラマをお楽しみください。
WORKS
作品一覧
北回帰線
RELEASE: 1981
STORY
あらすじ
Key
Feature
作品の “みどころ”
“生きること”、人生の過酷さを描くストーリー展開
本作は幸せな恋愛一辺倒ではありません。恋愛成就で終わるのではなく、その後に訪れる“人生の試練”を真正面から描いています。
不倫の修羅場、流産、不妊、事故、後遺症、元恋人との再会など、容赦なく現実が降りかかっていく展開に。特に終盤、飛行機の事故によってクレウスが子どものような状態になってしまう姿は、読者に大きな衝撃を与えるでしょう。大実業家である夫の見る影もない姿に直面し、飛鳥は絶望と深い悲しみに暮れてしまいます。しかし、飛鳥は絶望するだけではありません。葛藤しながらもすべてを受け入れ、それでもなお愛する人を支え続ける道を選びます。
彼の子ども・アレックと、その母ミレーヌをも呼び寄せるのは、すべてクレウスのため──正妻と愛人の対立ではなく、愛する夫に向けた「究極の無償の愛」を示しています。
「愛されること」ではなく「愛し続けること」の尊さが描かれた本作。若いころの甘酸っぱい、ときめきいっぱいの恋愛とは異なる、成熟した愛情の形が表現されています。
単なる恋愛マンガではなく、容赦なく襲いかかってくる人生の試練を描くヒューマンドラマ。波乱万丈なストーリー展開は読者の予想を裏切り続け、ページをめくる手を止まらせないでしょう。
「魅せられて」「時代」──数々の名曲が物語を彩る
本作の一話一話につけられているサブタイトルは、すべて時代を象徴する名曲のタイトルです。
ジュディ・オング「魅せられて」
中島みゆき「時代」
岩崎宏美「聖母たちのララバイ」
もんた&ブラザーズ「ダンシング・オールナイト」
山口百恵「いい日旅立ち」など。
1980年代を代表する楽曲たちのタイトルをただ借りているだけではありません。登場人物の心情が大きく動く場面では、その曲の歌詞が作中に登場。まるで、登場人物が歌っているかのように、心の内を代弁する演出が用いられています。恋に苦しむとき、別れを受け入れようとするとき、人生の転機を迎えたとき──その場面にふさわしい歌が添えられることで、セリフだけでは表現しきれない感情がより鮮明に伝わってくるでしょう。
名曲たちがあのころの空気を思い起こさせる、それはさながらタイムカプセルのようです。
ストーリーだけでなく、登場人物の言葉、美しい情景描写、そして音楽。これらを組み合わせて一人ひとりの感情を描く演出は、本作ならではの大きな魅力です。昭和の歌謡曲カルチャーと少女マンガが交差し、物語を深く・鮮やかに彩ります。
愛か仕事か──時代を先取りした「自立する女性像」
1980年代の作品でありながら、「結婚したら家庭に入るべき」という価値観には簡単に従わない飛鳥。スチュワーデスという仕事に誇りを持ち、自分の能力を社会で活かしたいという強い意志を持っています。
先輩パイロットの仲緒という身近な男性との愛に揺れる一方で、彼女は自分の足で立ち、社会の中でプロフェッショナルとして生きることを渇望します。さらに、大富豪のクレウスから規格外の愛と富を伴うプロポーズを受け、玉の輿に乗る立場となってもなお「仕事を続けたいと譲りません。「仕事を辞めてほしい」というクレウスに食い下がり、男性に依存する受動的な結婚生活ではなく、愛する人と対等に向き合おうとする飛鳥。“働くこと”や“生きる意味”を追及し続けた飛鳥の姿は、当時の少女マンガにおいて大きな憧れと共感を抱かせていたでしょう。
ここで描かれるのは、単にキャリアを持つだけの女性像ではありません。愛する男性がいても、その妻という立場だけに自分を閉じ込めないこと。経済的に恵まれていても、自らの力で社会と関わり続けること。「私は私」という、一人の人間としての軸を失わない姿が示されています。
結婚と仕事をどう両立するのかという問題を真正面から描く本作は、今読んでも現代的。男女を問わず、すべての人に読んでほしい名作です。
COMICS
コミックス一覧
北回帰線 1巻
竹之内飛鳥は国際線スチュワーデス。いつしか、飛鳥は一緒に働く先輩パイロット・仲緒に恋をしていた。しかし、仲緒には会長の娘である妻がいた。その矢先、ギリシャの大実業家クレウスにプロポーズされて…!?紺碧の大空を舞台に繰り広げられる壮大なラブストーリー!!
北回帰線 2巻
飛鳥と仲緒は部屋を借り、将来を誓い合う。しかし、仲緒の妻、和美は離婚に応じる気は無かった。二人が同棲を始めた事は、いつしか周囲で噂となってしまい、飛鳥の気は焦る。そんな折、二人の乗る飛行機がハイジャックされて…!?
北回帰線 3巻
ハイジャック事件をきっかけに、気持ちがすれ違ってしまった飛鳥と仲緒。和美の自殺未遂で、二人の仲はついに決定的なものとなる。仲緒と別れた後、クレウスと再会した飛鳥は、ひたむきに愛を注いでくれる彼との結婚を決意する。
北回帰線 4巻
クレウスと飛鳥の婚約が発表され、大実業家との縁談に騒ぐ周囲に、飛鳥はとまどいを覚える。飛鳥と仲緒の過去の話を知ったクレウスは、二人の関係を疑い、結婚後も働きたい飛鳥に仕事を辞めるよう迫る。二人はすれ違ってしまい…!?
北回帰線 5巻
飛鳥はついにクレウスの子供を授かる。幸せの絶頂にいる二人だったが、仕事を続けた飛鳥は流産してしまう。一方、過去にクレウスと関係をもったミレーヌも妊娠していた。ミレーヌは一人で子供を育てようとするが、クレウスの耳に入り…!?
北回帰線 6巻
クレウスの子供を流産してから、気持ちがすれ違ってしまう二人だったが、飛鳥はクレウスの元へ帰り、二人は再び強く結ばれた。しかし、飛鳥の身体は、子供が出来にくくなってしまう。そして、飛鳥はミレーヌがクレウスの子供を産んだ事を知ってしまう。
北回帰線 7巻
子供が出来ない飛鳥は、再び仕事に励もうと、クレウスが所有するアポロ航空の社長になることを決意する。ところが、経営が軌道に乗ってきたその矢先、クレウスも乗っているアポロ航空の飛行機が事故に遭ってしまい…!?
北回帰線 8巻
飛行機事故の後遺症で、子供のようになってしまったクレウス。嘆き悲しむ飛鳥だったが、それでも彼を愛し、見守り続ける。飛鳥はクレウスのため、アレックとミレーヌを呼び寄せ、一緒に暮らす。クレウスが再び飛鳥の愛に応える日は…!?
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