多くの物語の雛形とも言われる豊潤で莫大な『ギリシア神話』を『アリエスの乙女たち』の里中満智子が漫画化。第一巻で描かれるのは、混沌から生まれた神々が、世界を象っていく様が描かれる。父神であるクロノスを追い落とした大神・ゼウスは、自分自身も子によって倒されることを恐れていた。知恵の神・メティスが自分の子を宿していると知ったゼウスは……。人間くさい感情に満ちた神たちの悲喜劇。 世界の誕生からローマ帝国の建国まで、神と人の壮大なストーリーがぎゅっとまとめられた超大作。日本の古事記とも通じる数々の神話に「そうだったのか!」が止まりません。誰もが一度は見聞きしたことのある、あの神やあの英雄の素顔をお楽しみください。
WORKS
作品一覧
ギリシア神話
RELEASE: 1999
STORY
あらすじ
Key
Feature
作品の “みどころ”
神話全体を網羅した圧倒的なスケール感
世界の始まり、神々の誕生、英雄たちの冒険、そして神が起こしたトロイア戦争とローマ帝国創建への序章まで、ギリシア神話のほぼ全領域を網羅した本作。カオス(混沌)から世界が生まれ、ティタン族とオリュンポスの神々との権力争いから始まり、物語は大きく展開していきます。
断片的なエピソードが多いギリシア神話は、登場人物の多さや時系列の複雑さから解釈が難しい部分も少なくありません。しかし本作では、ギリシア神話をまったく知らない読者でも無理なく読み進められるよう、1話ごとにコラムや補足解説が収録されています。神話にまつわる背景知識、神々の系譜、古事記との比較など、本編を読むだけでは得られない学術的な視点が加えられているのが特徴です。本文中にも、ローマ字やギリシア名などの複数の神名、複雑な親族関係がわかりやすく整理されており、登場人物一人ひとりを理解しながら読み進められます。
神話はただの古いお話、ではありません。単に歴史的なエピソードをなぞるのではなく、神々の内面に迫ることで「人はなぜ恋をし、なぜ人は傷つくのか」という根源的な問いを読者に投げかけています。神々の気高さと人間味を両立させた本作は、読者を物語の当事者として惹き込むでしょう。
「女性の自立と運命」を問う視点
里中満智子は長年にわたり、歴史や神話における女性の生き方を描き続けてきた作家です。神話における女性キャラクターには、しばしば神の気まぐれに翻弄される“受け身の存在”として描かれがちです。
しかし、本作では夫への嫉妬心をあらわにしたり、男性社会の中で自身の力を発揮しようとしたり、多くの女性キャラクターが自らの感情と意思を持った人物として表現されています。妻、母、娘、そして一人の女性として。過酷な運命にあえて抗おうとする強さや、母性ゆえの決断、女神たちが持つプライドや重責──それぞれの心情や痛みが緻密に描かれた姿は、現代社会で戦う女性たちへのエールにも似たものがあります。
ギリシア神話は長い歴史の中で、多くの人々によって語り継がれてきました。里中満智子は、その巨大な物語の山を“女性の目線”という新しいルートによって登り直すことで、まったく異なる景色を読者に提起します。それはフェミニズム的な書き換えではなく、神話から読み取れる女神たちの“本来の声”を、ようやく聞こえるようにしてくれたと言えるでしょう。
太古から語り継がれてきた物語の中に、これほど多くの女性たちの声が眠っていたこと。ページを閉じた後もしばらく、静かな驚きを抱え続けるのではないでしょうか。
人間味あふれる神々が照らす、西欧文化の根源
ギリシア神話の神々は、全知全能の超越的な存在ではありません。嫉妬し、欲望に流され、愛におぼれ、時に醜い復讐をする──その「人間味」が、ヨーロッパ文明のいたるところに流れ込んでいます。「ナルシシズム」「パンドラの箱」「アキレス腱」といった現代語として定着している数々の言葉は、こうした神々や英雄たちの喜怒哀楽から誕生したものです。
完璧な神ではなく、欠点だらけの神々を想像した古代ギリシア人の考え方は、西洋の美術・文学・哲学・音楽などあらゆるところに静かに息づいています。ルネサンスの絵画も、シェイクスピアの悲劇も、オペラの題材となる嫉妬も、すべてこの神話の世界へと根を伸ばしていることがわかるでしょう。
現代の映画、小説、アニメ、星座や惑星の名称にいたるまで、ありとあらゆる物事のルーツがこのギリシア神話に込められています。本作を読めば、そうした文化的な素地を自然と身につけられるでしょう。
そして、神話の根底にはたとえ神であっても変えられない「運命」という冷徹なテーマがあります。美しい造形のキャラクターとは裏腹に、不条理な運命に翻弄されながら苦しむ描写も少なくありません。神も人も、その運命にどう向き合っていくのか──神々の時代から現代も変わらぬ愛と運命のストーリーを、ぜひマンガ本編でお楽しみください。
COMICS
コミックス一覧
ギリシア神話 1巻
多くの物語の雛形とも言われる豊潤で莫大な『ギリシア神話』を『アリエスの乙女たち』の里中満智子が漫画化。第一巻で描かれるのは、混沌から生まれた神々が、世界を象っていく様が描かれる。父神であるクロノスを追い落とした大神・ゼウスは、自分自身も子によって倒されることを恐れていた。知恵の神・メティスが自分の子を宿していると知ったゼウスは……。人間くさい感情に満ちた神たちの悲喜劇。
ギリシア神話 2巻
大神・ゼウスによって、不死の神々と人間たちの調和した世界がもたらされた。感情豊かな神々は、人間たちと次々に恋におちるが、強大な力を持つが故に、選択を誤り苦しみ神もいた。羊飼いのエンデュミオンに恋した月の女神・セレネはゼウスに永遠の若さを願うが……。哀しみ、愛、怒り、喜びの感情に彩られた、神々の悲喜劇を里中満智子が描く
ギリシア神話 3巻
父神・クロノスから覇権を奪い取ったゼウスたちは、“くじ”によって支配する場所を決めた。ゼウスが天を、ポセイドンは海、そして冥界をハデスが支配することになった。暗い地の底で死者を裁くハデスは、地上で花を摘みコレーに恋し、さらってしまう。愛娘を失った農耕の女神・デメテルは悲しみに暮れてしまう……。人間よりも人間らしい感情に満ちた神々の物語。
ギリシア神話 4巻
「自分の息子に殺される」という予言を授けられていたテバイの王・ライオスは、生まれたばかりの王子を殺せと配下に命じる。隣国の王の手によって運良く助けられた王子は、オイディプスと名付けられ、出生の秘密を知らぬまま成長していく。やがて定められた宿命に絡み取られるとも知らず……。「エディプスコンプレックス」の語源ともなった悲劇をはじめ、人と神の悲しみの神話が描かれる。
ギリシア神話 5巻
見るものを石に変える恐るべき怪物・メドゥーサを倒したペルセウス。ゼウスの息子として生まれながらも、女神・ヘラにうとまれ、数々の試練に挑戦しなければならない怪力の英雄・ヘラクレス。波乱万丈の冒険を繰り広げる、半人半神の英雄たちの物語。
ギリシア神話 6巻
叔父に奪われた王位を取り戻すため、イアソンは、この世の果てにあるという黄金の羊の皮を求め旅立つことに。このかつてない冒険の知らせに、ヘラクレスやオルフェウスをはじめとするギリシア中の英雄が名乗りを上げる。アルゴー号の英雄たち=アルゴナウタイは誰も見たことのない世界の果てに挑む。
ギリシア神話 7巻
オリュンポスの3女神、ヘラ、アテナ、アプロディテのなかで最も美しいのは誰か?この難問の答えを求められたのは羊飼いのパリスだった。“私を選べば最も美しい人間の女を妻にしてあげましょう”というアプロディテの言葉に従ったパリスは、スパルタ王妃ヘレネと運命の出会いを果たす。しかしこの出会いをきっかけに、ギリシアとトロイアの終わりなき戦いがはじまる。
ギリシア神話 8巻
10年に及ぶトロイア戦争は、ギリシア軍の勝利で終わった。勝利に沸き返るギリシア軍だったが、その帰路は悲惨なものだった。ギリシア軍を勝利に導いた智将オデュッセウスも、海神・ポセイドンの呪いにより、苦難と哀しみに満ちた旅路を歩むことになる。どれだけの苦難や誘惑があろうとも、愛するペネロペに再会するまで、オデュッセウスは自分の才覚で道を切り開き続ける。世界中に愛されるギリシア神話を里中満智子が描くシリーズ、完結!
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